(Adnkronos) – ドナルド・トランプ氏がホワイトハウスに復帰することで、4年間は予測不可能な状況となる。中国は今、この事態に備えている。貿易や台湾をめぐる緊張が再びエスカレートする可能性がある。しかし、ワシントン・ポスト紙は、中国にとって国際舞台でより大きな役割を担う機会にもなり得ると指摘している。中国国内では、トランプ氏の選挙運動を支持し、中国に多大な利害関係を持つイーロン・マスク氏に期待する向きもある。彼が「橋渡し」役を果たしてくれることを期待しているのだ。微博(ウェイボー)では、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響で経済の立て直しに苦戦し、若者の失業率が上昇している中国に、彼を次期駐中国米国大使に推す声もある。
「中国は、両国を和解に導く役割に彼が尽力してくれることを喜ぶだろう。協力して取り組むことで得られる機会がある」と、北京のシンクタンクであるCenter for China and Globalizationの研究員であり、Substackでニュースレター「Pekingnology」を発行するワン・ズィチェン氏はコメントしている。
ここ数時間、中国の習近平国家主席も、中国製品に60%の関税をかける可能性を示唆したトランプ氏に祝意を伝えている。しかし、「ここ中国では、政府関係者も含め、多くの人が、ある程度の混乱、嵐のような事態に備えていると思う。誰も分からないのだ」と、上海の復旦大学の国際関係学教授であるタン・シーピン氏は言う。「トランプ氏が2期目に何ができるのか、本当に理解している人、あるいは漠然とした考えを持っている人はいないと思う」。
トランプ政権とバイデン政権の両方で国家安全保障会議に携わった経験を持つイワン・カナパシー氏は、「中国と米国の関係は、最初の100日間で緊張が高まるだろう」と確信しており、「競争行動が加速するだろう」と述べている。関税から制裁まで。しかし、ポスト紙が強調しているように、今回は中国は以前よりも準備ができている。国家主義的なウェブサイト「観察者網」は、中国はトランプ氏に感謝すべきだと主張している。「彼は我々の決意を固め」、「重要な分野における自給自足能力」を高めてくれたからだ。
しかし、同紙は、新たな貿易戦争は、中国にとって最悪のタイミングで起こり得ると指摘している。カーネギー国際平和基金のトン・ジャオ氏は、「中国は以前から準備を進めてきた」と述べているが、新たな貿易戦争は「現在、国内の経済状況が非常に厳しいことを考えると、中国の経済競争力にとってはるかに深刻な脅威となる」ため、有害であると見ている。
習氏は、中国の指導者を「友人」であり「素晴らしい人物」とみなすと述べたトランプ氏へのメッセージの中で、「歴史が示すように、中国と米国は協力すれば利益を得、対立すれば損失を被る」と述べ、「安定した関係」の重要性を強調した。2018年、トランプ氏は前年に習氏との貿易協定の締結を目指した後、輸入品に対する関税と、ハイテク分野で活動する中国企業に対する制裁を課し、中国との貿易戦争を開始した。その後も、トランプ氏は新型コロナウイルス感染症のパンデミックの最中に、中国を非難することをやめなかった。「中国ウイルス」と呼んでいたのだ。
バイデン政権は、トランプ時代の関税や多くの政策を維持しているが、意思疎通の道を再開しようと努めてきた。専門家によると、トランプ氏は、合意を目指したアプローチに戻る可能性があるという。カリフォルニア大学サンディエゴ校の中国専門家であるスーザン・シャーク氏は、トランプ氏が2期目のホワイトハウスで、経済協定の締結を目指すと見ている。
「台湾」問題の詳細には触れずに、次に「地政学的要因」がある。これは、特にトランプ氏が孤立主義的な傾向に戻る場合、中国に有利に働く可能性がある。そのため、アナリストによると、トランプ氏によって米国と同盟国との関係が弱体化すれば、2期目は中国にとってプラスになる可能性があるという。ジャオ氏は、中国は「より広範な西側諸国との連携による、米国による中国孤立化の取り組みを損なおうとするかもしれない」とし、「米国の国際的な威信の低下とは対照的に、責任ある大国としてのイメージを高めようとするのは間違いない」と述べている。一方、中国は成長を促進する方法を模索している。李克強首相は先日、2024年の経済目標を達成する中国の能力に「十分な自信を持っている」と述べた。政府は「約5%」のGDP成長率の達成を目指している。